渓流ヴィラITSUKI 椎葉清セレクト
五木くねぶ
「くねぶ」という柑橘はご存知だろうか?
インドネシア→中国→沖縄を経て16世紀後半に日本に伝来したと言われている。徳川家康への献上品だったという文献も残るほどの柑橘だが、江戸時代に登場した温州みかんの普及によって、徐々に日本から姿を消していったと言うのだ。
そんな希少な柑橘が、実は球磨郡五木村では、昔から各家庭で植えられてきたことから、現在、「幻の柑橘」として注目されている。
村民からすると、「当たり前にある庭の柑橘」。だが、その果肉の味わいは、酸味と甘さのバランスがよく、焼酎割りや料理に活用されてきた。その魅力に気づいた村の住民の岡本さんが、株を少しずつ増やし収量を増やしたことから、ブランド化に成功。
今では、旬を迎える10月下旬〜11月中旬に収穫を行い、果実自体も道の駅「子守唄の里五木」で購入することができるようになる。また、くねぶ原料を活用したゼリーやぽん酢、ロールケーキ、リキュールなどの加工品も開発され、五木村を代表する特産品の一つになったと言う。
「帰省してはじめて『くねぶ』のことを知りました」。
椎葉さんも、柑橘の原種ながら、その瑞々しい果汁や爽やかな酸味、苦味の少ない皮など、親しみやすい味わいに感動したと言う。
フレッシュな柑橘は、10月下旬から11月中旬に購入可能だが、旬が短い。「果汁を保存してデザートなどに活用しています」。五木の深い森に実る黄色い柑橘たち。その景色と共に、村の人々が受け継いできた幻の柑橘を味わいたい。
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店舗情報
道の駅「子守唄の里五木」
〈住所〉熊本県球磨郡五木村甲2672-54
〈営業時間〉8:30〜17:30