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Peg 冨永 博美セレクト
「たから農園」種採り野菜

「エネルギーに満ち溢れ、とにかく美味しい」と冨永さんが絶賛する「たから農園」の野菜。育てているのは、宇城市豊野町で種採り野菜を栽培している高田泰運さん・和加奈さんご夫妻。その力強さの秘密は、この「種採り」にあった。

東京から12年前に熊本に移住したお二人。有機農業研修制度を活用し、宇城市小川町の有機農家・森田良光さんの元で有機農業について学んだのち、豊野町で就農。さらに、長崎・雲仙で40年以上、種をつなぎ在来種を守ってきた岩崎政利さんとの出会いも大きかったという。

生き生きとした野菜。細かな草取りは手作業で行い、美しい圃場が保たれている

「2012年の夏に行われた種苗交換会で、岩崎さんに出会い、その野菜の美味しさと、バラエティの豊富さに衝撃を受けました」と泰運さん。「種採り野菜」の存在は知ってはいたものの、実際に出会った衝撃は大きかったそうで、お二人は本格的に栽培と種採りに取り組むようになったと話します。

「種採り野菜(固定種・在来種)」とはその名の通り、育てた野菜の種を採り、次の時期に植え、また種を採る…これを繰り返している野菜のこと。一般に流通している野菜は、異なる品種のかけあわせにより改良された「F1(一代交配)」がほとんどで、次の代は形質がばらつくため毎年種を購入しなければならない。

種採り用のスペースも必要なため、各所に点在する圃場

ただ、単純に種を採るわけではなく、「母体選抜」が重要と和加奈さんが教えてくれた。

「たとえば100本の大根を抜いて、色や形などを見て10本を選抜。それをまた土に植え、花を咲かせ種を採ります」。在来種・固定種をメインに栽培している「たから農園」は、年間約30品種を自家採種している。

「日本には在来種の大根が100種類以上もあるそうです。その中でも、私たちが好きな品種を育てているんです。収穫の時期なども考え、佐賀の女山三月大根や、五木村の五木赤大根、宮崎の米良大根など、大根だけでも5種以上。それぞれ、なめらか・シャキシャキ・ほくほくなど、食感も味わいも違う。その品種の美味しさを味わえますよ」。

「Peg」の冨永さんも、「たから農園さんの野菜は変幻自在」と絶賛。届けられる野菜の品種・歴史に興味を持ち、どう料理に活かそうかと考えるのが楽しいと言います。「野菜は地味で脇役だと思っていましたが、お店にお邪魔すると想像を越えた料理になっていて、感動します」と和加奈さん。生産者と料理人、双方が尊敬し合うことで生まれる一皿を「Peg」で体験してほしい。

店舗情報

たから農園

〈住所〉熊本県宇城市豊野町

〈野菜の取り扱い店〉畑まるごとマーケット「有機生活」、フーディーワン

〈通信販売〉takaranouen@gmail.com

〈公式SNS〉X(旧Twitter)@takaranouen

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