郷土料理を通じて熊本を体験する~伝統を未来に繋いで~
おく村 / 奥村賢
日本三大名城に数える熊本城の城下町として古くから栄えてきた熊本市新町。この地で創業一五〇年を迎えた「日本料理おく村」は、老舗料亭として食は元より熊本の歴史・文化も見守ってきた。各部屋に飾られた季節を感じる掛け軸、歴史的価値のある豪華絢爛な調度品の数々に老舗料亭としての伝統、そして、お客様を思うおもてなしの心を感じる。
料理長の奥村賢さんは、1992年、京都の老舗割烹「京料理 熊魚菴たん熊北店(ゆうぎょあん たんくま きたみせ)」に入店し、日本料理のいろはを学び1999年帰熊後「日本料理おく村」にて、県内各所の生産者と触れ合い実感した熊本の「食」環境の豊かさを畑の代弁者となり食を通じてその環境の素晴らしさをお客様へ伝えることを日々大事にしている。
地元で採れた食材は、地元の料理人が、地元の調味料で、地元の器を使い、地元で食することが一番美味しいとの考えにより、日々素材集めにも力を入れている。
中でも熊本県の幻と言われる伝統食材の一つ「水前寺のり」の保全・普及に精力的に取り組み、水前寺のりを練りこんだそうめんなど、様々な商品開発にも取り組んでいる。また、毎年11月には「新嘗祭」を県下の各生産者と開催するなど、日本古来の伝統文化を守り、未来に伝承する活動も続けている。気さくで、熱い人柄がとても魅力的だ。
奥村料理長がプレミアムコースを通じて伝えたいのは、「熊本の郷土料理を食べて、その土地の歴史も知る」こと。馬刺し、辛子蓮根、一文字のぐるぐるなど定番の郷土料理はもとより、器や調度品など料理に関わる全ての生産者との対話中に感じたインスピレーションを元に、日本料理の伝統技法を用いて献立を立てている。なぜこの料理が古くから熊本で食べられているのか、ひとつひとつの歴史的な背景を汲んでお客様に提供する。
奥村料理長は、お客様に出す料理は敢えて全て自身で作らず、辛子蓮根は同じ新町にある創業四〇〇年の歴史を持つ森辛子蓮根から調達。おく村の郷土料理を通じ、地元新町の歴史全体を感じてもらおうという狙いだ。熊本の食文化を共に守り継いできた同志として、町全体でお客様をおもてなしする。
もちろん、食材は奥村料理長自ら各生産地へ足を運び、各生産者との対話を通し選び抜いたものが揃っている。また、箸置きには熊本の伝統工芸品の一つである肥後象嵌、器は地元窯元「小岱焼健軍窯(しょうだいやき たけみやがま)」県南地域から「高田焼伝七窯(こうだやき でんしちがま)」など県内各所の窯元の器を利用。まさに、熊本の伝統と文化の集大成が堪能できる。
プレミアムコースの中で使用された各窯元の器などは店内で購入もできる。
おく村のプレミアムコースを通して、熊本県の風土環境と歴史を感じていただきたい。
店舗情報
住所:〒860-0004 熊本県熊本市中央区新町1丁目1−8
TEL:096-352-8101
営業時間:ランチ11:30~15:00
ディナー17:00~22:00
プレミアムコースのご予約
プレミアムコースは熊本の四季折々の食を楽しんでいただくために、各店舗の食材で内容が変わります。内容については店舗に直接お尋ねください。
プレミアムコース(5日前まで要予約)
料金:25,000円